今回の長文はネタです・・・ww
第六回漢検一級模試!試験は60分200点とします。
(一)次の傍線部分の読みをひらがなで記せ。1~20は音読み、21~30は訓読みである。
1 この映画は沱若せざる終えない。
2 鬚塵を払って大学の単位を得る。
3 Don't ask him to lend you any money. He's as poor as a church mouse. 貸すよりかはこういわれるほうがよほど触諱な言動だと思う。
4 この行為は我が教えに対する侵黷行為だ。
5 讒臣国を乱し妬婦家を破る。
6 新大久保で嗜んでいたらデモ隊に罵毀された。
7 彼の最近の惷迪はどうもおかしい。
8 酒が弱い人は醇醪はお勧めできない。大胆に酔っぱらってしまう。
9 霖餘に外を眺めれれば、子供たちが瀦で遊んでいるのを見た。
10 この説には秕謬がありますが、指摘すると世紀の大発見が台無しになるのだ。
11 今日は焜燿としていて非常に蒸し暑い日だ。
12 まるで私を猜怨してるかのような目つきである。
13 この漫画には灑泣せざる終えない。
14 精確にして正格な誠愨な性格の精覈。
15 屠肆で宴会を開催する。
16 捨て猫を桴粥するほど、温和な性格だ。
17 彼女が斜瞻で誘惑しているようだが、正直気に入らない。
18 猗靡として情に歓愛し、彼と彼女はお互いのことを忘れないであろう。
19 彼は二次元に狂狷して戻ってこなくなってしまった。
20 悪評嘖嘖という言葉は一般には誤りである。
21 一旦ここで佇まって、様子を窺うのだ。
22 逕ちにここから避難してください。爆弾が仕掛けられているんだ。
23 大学入試で黜されたショックがいまだに立ち直れない。
24 桴粥とは何かを嘔うという意味である。
25 誰がどう見てもこの結果は倬らかだろ・・・。
26 このことに関しては口を拑むように言われた。
27 この滕がる力はいったいなんなんだ。
28 襤褸を身に纓い、胸から血を滴らせ・・・。
29 家族関係に罅が入る。
30 人を藐むようなことはやめることだ。
(二)次の傍線部分のカタカナを漢字で記せ。
1 ゼルダの伝説でインチキなヤブサメをする動画がある。
2 雅楽でヒチリキの音が鳴り響く。
3 肝臓が悪いのかややオウダンが見られる。
4 ノシブクロは基本的に祝儀に使われる。
5 今年は去年より都会に降る雪の量がヤヤ多い。
6 平沢唯は、絶対音感というヒンセイの持ち主。
7 酒を飲みながら、満ちたコウガを嗜む。
8 センター試験でツバが出題される。つばとは剣の柄と刀身の境に挟んである物である。
9 睡眠時無呼吸症候群の殆どはカンスイを伴う。
10 このモンスターは非常にシギャク的な性格を持ち、危険である。
11 ここは日本の文明のヨウランの地である。
12 桃のヨウヨウとした季節となった。
13 尖閣問題は何かヨウヨウとしていてはっきりしない。
14 日本と中国との間にゲキが生ずる。
15 安倍総理が靖国に参拝するよう保守議員にゲキを飛ばす。
(三)次の傍線部分のカタカナを国字で記せ。
1 軍艦が立派な砲コウを持っている。
2 ニオを別の表記で書くと鸊鷉と書かれる。
3 アサリの味噌汁をいただく、
4 この実験で生まれた誤差は二デシグラムと考えられる。
5 我ながらアッパレな活躍であった。
(四)次の1~5の意味を的確に表す語を、下の「 」から選び、漢字で記せ。
1 ばくちのこと。
2 死体を埋める穴。
3 勝手気ままでしまりがないこと。
4 石・木などの印材に字を記すこと。
5 行動を共にすること。
「あぼう・こうけつ・てんこく・ばくえき・ほうらつ・れんべい・れんごく」
(五)次の四字熟語について問1と問2に答えよ。
問1 次の四字熟語の1~10に入る適切な語を下の「 」から選び漢字二字で記せ。
ア ( 1 )無欠
イ ( 2 )濫刑
ウ ( 3 )当車
エ ( 4 )枝指
オ ( 5 )落色
カ 物論( 6 )
キ 曲水( 7 )
ク 疾言( 8 )
ケ 危言( 9 )
コ 詩人( 10 )
「かくろん・きょしょく・きんおう・ごうごう・ぜいこつ・せいしょう・せんしょう・とうひ・べんぼ・りゅうしょう」
問2 次の11~15の解説・意味に当てはまるものを問1のア~コの四字熟語から一つ選び、記号(ア~コ)で記せ。
11 微弱な者が己の力をかえりみず強者に立ち向かうたとえ。
12 交友が途絶えそうになること。
13 激しく議論を戦わせること。
14 世間の噂が騒がしいこと。
15 無用なもののたとえ。
(六)次の熟字訓・当て字の読みを記せ。
1 蟒蛇
2 玉柏
3 壬生菜
4 洋妾
5 紅娘
6 鞋底魚
7 年魚
8 凍原
9 君遷子
10 飯匙倩
(七)次の熟語の読み(音読み)と、その語義にふさわしい訓読みを(送り仮名に注意して)ひらがなで記せ。
ア 饒裕 - 饒か
イ 嫩日 - 嫩い
ウ 緇髪 - 緇い
エ 惆悵 - 悵む
オ 佚蕩 - 佚い
(八)次の1~5の対義語、6~10の類義語を下の「 」の中から選び、漢字で記せ。「 」の中の語は一度だけ使うこと。
1 貪婪
2 感謝
3 天神
4 都雅
5 愚鈍
6 不和
7 水墨画
8 狼扈
9 凋落
10 自彊
「いび・えんさ・かっきん・しゅうきん・てんたん・ちぎ・ひぞく・ぼくぎ・れいり・ろうぜき」
(九)次の故事・成語・諺のカタカナの部分を漢字で記せ。
1 蛇も一生ナメクジも一生。
2 シュウシは則ち百福の由りて興る所なり。
3 食いて愛せざるは、之をシコウするなり。
4 大功を天下に建つる者は、必ず先ずケイモンの内を修む。
5 リクガの編を廃す。
6 千里のジュンコウ未だ塩豉下さず
7 窮猿林に奔るアニ木を択ぶに暇あらんや。
8 言葉にトツにして行いに敏。
9 セキレキに翫れて玉淵を窺わず。
10 変じ安き心は鴻毛より軽く、撓ざる志はリンカクよりも稀なり。
(十)文章中の傍線のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。
A. 「もうお父さんの事はあてにならないよ。あの年になってのことだもの……」
これは父の1ホウトウを意味するのだった。
「勝手にするがいいさ」
私はおこったような口調で2ツブヤくと、いかにも腹には確然としたある自信があるような顔をした。こんなものの言い方やこんな態度は、私がこのごろになって初めて発見した母に対する一種のコケトリイだった。だが、私が用うのはいつもこの手段のほかはなく、そうしてその場限りで何の効もないので、今ではもう母の方で、もう聞き飽あきたよという顔をするのだった。
(中略)
母は、ちょっと笑いを浮べたまま黙って、煙草盆を箱から出しては一つ一つ拭いていた。
私も、話だけでも、父の事に触れるのは厭になった。
「明日は叔父さんたちも皆な来るでしょう」
「皆な来ると言って寄こした」
また父の事が口に出そうになった。
「ア躑躅がよく咲いてる」と私は言った。
「お前でも花などに気がつくことがあるの」
「そりゃ、ありますとも」と私は笑った。母も笑った。
「ただでさえ狭いのにこれ邪魔でしようがない。まさか棄てるわけにもゆかず」
母は押入の隅に3カサバっている三尺ほども高さのある地球儀の箱を指差した。――私は、ちょっと胸を突かれた思いがして、かろうじて苦笑いを堪えた。そうして、
「邪魔らしいですね」と慌てて言った。なぜなら私はこの間その地球儀を思いだして一つの短篇を書きかけたからだった。
それはこんな風にきわめて感傷的に書きだした。――『祖父は泉水の隅の灯籠に灯を入れてくるとふたたび自分独りの黒く塗った膳の前にイ胡坐をかいて独酌を続けた。同じ部屋の丸い窓の下で、虫の穴がところどころにあいている机に向って彼は母からナショナル読本を習っていた。
「シイゼエボオイ・エンドゼエガアル」と。母は静かに朗読した。竹筒の置ランプが母の横顔を赤く照らした。
「スピンアトップ・スピンアトップ・スピンスピンスピン――回れよ独楽よ、回れよ回れ」と彼の母は続けた。
「勉強がすんだらこっちへ来ないか、だいぶ暗くなった」と祖父が言った。母はランプを祖父の膳の傍に運んだ。彼は縁側へ出て汽車を走らせていた。
「純一や、御部屋へ行って地球玉を持ってきてくれないか」と祖父が言った。彼は両手で捧げて持ってきた。祖父は膳を片づけさせて地球儀を膝の前に据えた。祖母も母も呼ばれてそれを囲んだ。彼は母の背中にウ凭りかかって肩越しに球を覗いた。
「どうしても俺にはこの世が丸いなどとは思われないが……不思議だなア!」祖父はいつものとおりそんなことを言いながら二三遍グルグルと撫で回した。「ええと、どこだったかね、もう分らなくなってしまった、おい、ちょっと探してくれ」
こう言われると、母は得意げな手つきで軽く球を回してすぐに指でおさえた。
「フェーヤー? フェーヤー……チョッ! 幾度聞いてもだめだ、すぐに忘れる」
「ヘーヤーヘブン」と母はたちどころに言った。
(中略)
祖父が地球儀を買ってきてから毎晩のようにこんな4ダンランが醸された。地球が円いということ、米国が日本の反対の側にあること、長男が海を越えた地球上の一点に呼吸していること――それらの意識を幾分でも具体的にするために、それを祖父は買ってきたのだった。
(中略)
翌日、道具を片付ける時になると母はまた押入の前で地球儀の箱を邪魔にし始めた。
「見るたびに焦れったくなる」
「そんなことを言ったって、しようがないじゃありませんか」と私は言った。「どうすることもできない」
「たいして邪魔というほどでもない」
「だってこんなもの、こうしておいたって何にもなりはしない、いっそ……」
母は顔を5シカめて小言を言っていた。
――今に栄一が玩具にするかもしれない――私はも少しでそう言うところだったが、突然またあの「お伽噺」を思いだすと、自分で自分をエ擽るような思いがして、そのまま言葉を呑みこんでしまった。
栄一というのは去年の春生れた私の長男である。
[牧野信一(地球儀)より](2013年センター出題)
B 佐々木氏の曾祖母年よりて死去せし時、棺に取り納め親族の者集まりきてその夜は一同座敷にて寝たり。
死者の娘にて乱心のため離縁せられたる婦人もまたその中にありき。
喪の間は火の気けを絶たやすことを忌むがところの風ふうなれば、祖母と母との二人のみは、大なるオ囲炉裡の両側りょうがわにカ坐り、母人ははびとはキ旁に炭籠を置き、おりおり炭を継ぎてありしに、ふと裏口の方より足音してくる者あるを見れば、亡なくなりし老女なり。
平生腰かがみて衣物の裾の引きずるを、三角に取り上げて前に縫いつけてありしが、まざまざとその通りにて、縞目にも見覚えあり。
あなやと思う間もなく、二人の女の坐れる炉の脇を通り行くとて、裾にて炭取りにさわりしに、丸き炭取なればくるくるとまわりたり。母人は6キジョウの人なれば振り返りあとを見送りたれば、親縁の人々の打ち臥したる座敷の方へ近より行くと思うほどに、かの狂女のけたたましき声にて、おばあさんが来たと叫びたり。
その余の人々はこの声に睡を覚ましただ打ち驚くばかりなりしといえり。
[柳田国男(遠野物語)より]
C むかしは平家一門の7シャガが軒なみのク甍に映えた繁昌のあとである。平家亡んで、源ノ頼朝、実朝の幕府下にあったのもわずか二、三十年。――以後、北条氏がとって代ってからは、中興のひと北条泰時やすときの善政、最明寺時頼の堅持、また、8ゲンコウの国難にあたった相模太郎時宗などの名主も出て、とまれ、北条家七代の現執権高時の今にいたるまで、南北の六波羅探題以下、評定衆、引付衆、問注所執事、侍どころ所司、検断所、越訴奉行などのおびただしい鎌倉使臣が居留しているその政治的9ジュラクも、いつか百年余の月日をここにけみしていた。
夜はしらむ。
年輪をかさねた六波羅松の松の奏でに。
近くの八坂やさかノ神のケ庭燎、祇園の神鈴など、やはり元朝は何やら森厳に明ける。
明けて、ことしは元亨二年だった。
ただしく過去をかぞえれば、武家幕府の創始者、頼朝の没後から百二十二年目にあたる初春である。
又太郎は一室で、清楚な狩衣に着かえ、烏帽子も新しくして、若水を汲むべく、庭の井筒へ降り立っていた。
彼の伯父なる人とは、六波羅評定衆の一員、上杉兵庫頭憲房である。ここはその邸内だったのはいうまでもない。
「アア都は早いな」
井筒のつるべへ手をかけながら、又太郎はゆうべの酔の気けもない面おもてを、梅の10コズエに仰向けた。
「――国元のわが家の梅は、まだ雪深い中だろうに。……右馬介、ここのはもうチラホラ咲いているの」
「お国元のご両親にも、今朝は旅のお子のために、朝日へ向って、ご祈念でございましょうず」
又太郎に、返辞はなかった。彼も若水の第一をささげて、まず東方の人に、拝をしていた。
彼にとれば、ここは旅先の仮の宿所だ。ひまで、のんきで、身をもてあますほどである。
が、伯父の上杉憲房には寸暇も見えない。元日の朝、大書院から武者床を通した広間で、家臣の総礼をうけたさい、共にコ屠蘇を祝ったりはしたが、あとは顔を合せる折すらなかった。
[吉川英治(私本太平記)より]